top of page

一人ひとりを大切にする石川学院の支援『純粋・尊重・共感』の実践



沖縄県に根ざした福祉教育の拠点、石川学院。

この地で長年にわたり地域社会と共に歩んできた石川学院は、学びの場としてだけではなく、地域の温かい文化と伝統を次世代に伝える大切な役割を果たしています。



ー社会福祉法人の概要と使命ー

石川学院は、障がいを持つ人々が自分らしく、しあわせで豊かな生活を送ることができるように支援することを使命としています。法人設立以来、一人ひとりのニーズに合わせたサポートを提供し、利用者が社会の一員として活躍できる場を提供してきました。この施設は多様な障がいを持つ人々が集い、学び、成長し、交流する場所として、多くの人々にとって大切な場所となっています。


ー障がい者施設の目的と重要性ー

石川学院は、ただ「居場所」を提供するだけではなく、利用者個々の可能性を最大限に引き出し、自立し充実した生活を目指すための支援を行う場所です。専門のスタッフが個々の能力に応じたプログラムを提供し、日常生活に役立つスキルを高めるための支援を行っています。石川学院が地域社会に果たしている役割はとても大きく、障がい者の方々だけではなく、その家族や地域社会全体にとっても重要な存在となっています。

今回は、その心温まる歴史と現在の取り組みについて、石川学院の 太 理事長 にお話を伺いました。


ー石川学院を立ち上げた経緯を教えてくださいー

石川学院の立ち上げは、創設者が障がい者支援施設の必要性を強く感じたことが最初です。平成6年(1994年)頃、障がいを持つ人々のための入所支援施設が不足していました。特に「強度行動障害※」を示す方々に対する理解と支援は十分ではなく、多くの行動障がい者とそのご家族が適切なサポートを受けられずにいました。その為、ご家族、特に保護者の負担は大きくご苦労されていたと思います。


開設当時は「措置制度」という行政が職権で必要性を判断して障がいをお持ちの方への提供施設を決定し入所させる制度でした。行動障害のある方や特別支援学校(旧:養護学校)終了後の障がい者が安心してサービスを受けられる施設を作りたいという強い想いがありました。


県内での強度行動障害者の受け入れ施設設立を目指して動き出したものの、最初は県等の理解を得ることができずにいました。その後も諦めることなく行動を続けていたところ、当時の厚生省からの通達がきっかけで、この取り組みを理解し、石川学院並びに知的障害者ディサービスセンター(現:生活介護センター)の設立に至りました。


※強度行動障害とは:食べられないものを口に入れたり、危険につながる飛び出し行為を行うなど本人の健康を損ねる行動や、他人を叩いたり物を壊す、大泣きが何時間も続くなど周囲の人のくらしに影響を及ぼす行動が、著しく高い頻度で起こるため、特別に配慮された支援が必要になっている状態のことをいいます。(強度行動障害支援者研修資料より)


ー沖縄で初の取り組みで大変だったことはありますかー

法人立ち上げ準備のころから創設者が健康を害し、施設開所から約2ヶ月後に亡くなり、法人設立・施設運営は多くの苦労がありました。多くの困難がある中、様々な方たちにご理解いただき支援を受けながら、平成12年から、私が施設長の役割を引き受けることになりました。経験の浅さなど未熟なため施設運営の困難さもありましたが、経営理念「純粋・尊重・共感」を継承していくことが与えられた使命であり、この仕事をライフワークとしていこうと決意しました。


強度行動障害者の支援は難しく、ほとんどの職員が支援現場での経験がなく施設全体が混乱していました。自閉症や行動障がいを理解するというところからスタートし、安定した生活を送ってもらうためにはどうしたらいいのかなど、頻繁に会議や勉強会を重ねてきました。県外から講師を招聘し法人内で研修を開催したり、強度行動障害の方を専門的に支援している県外施設へ職員を派遣し、支援の在り方を学んできてもらいました。職員はとても大変だったと思います。(現在も、支援の在り方は模索中です。)


ー施設でのイベントや地域との関わりについて教えてくださいー

以前は、石川学院内で祭りなども開催はしていましたが、利用者の重度化、高齢化などで難しくなり暫く行っていません。現在、地域との関わりについては、地域主催の祭りや地域の清掃活動などに参加しています。又、近隣の教会主催で音楽会などを通して地域交流をしています。それから、新型コロナで行動が制限される前までは、毎年、ご家族も一緒に、ホテルでの食事会やクリスマスパーティー・忘年会、夏にはビーチパーティーも実施していました。海での行事はリスクが大きいですが、利用者がとても喜ぶんですよね。とてもいい笑顔をするんですよ(笑)だからやめられなかったですね。


ー今後の法人としての課題や目標はありますか?ー

人材確保が課題です。今、どこの法人(施設)も同じだと思うのですが、人材を確保するためには福祉の魅力を発信していく必要性を感じています。その為には、うるま市社協さんと一緒に取組んでいけたらと思っています。

また、世界中で大きな自然災害が多発し、沖縄県にも大きな地震や津波が来るといわれています。当法人の役割として、うるま市と障がい者避難場所の協定を締結し、また、隣接する施設や地域住民等と災害時地域連携ネットワークを構築し、繋がりを広め災害時に備えていきたいと思います。そして、地域のニーズに即応し、更なる地域貢献を目指していきます。


ー求める人材はどんな方ですか?ー

第一に”人が好き”な人ですよね。人間が好きっていうのは基本だと思っています。

また、向学心のある人ですね。

当法人では、「自己研鑽に努め主体的に考え行動できる職員、時代やニーズを素早くキャッチする先見性と柔軟な発想で構想する創造性をもって行動できる職員」等を求める人財像として施設内研修(人財育成)に取り組んでいます。


ー資格がない方でも可能ですか?ー

当法人内で専門学校とタイアップして介護福祉士資格取得に向けて実務者研修なども実施しています。社会福祉士の資格取得もしっかりサポートしているので、働きながら資格取得が可能です。現在、約7割の職員が国家資格を取得しています。

私は、知的障がい者の方との出会い(福祉の仕事)から40年になりますが、社会福祉を基礎から学ぶため、40代後半から4年間夜間大学で社会福祉を学び、その後、国家資格を取得しました。

創設者は「全職員に社会福祉士の資格を取得してもらい、福祉のエキスパート集団にしたい。」と人財育成の構想を描いていましたので、その想いも引き継ぎ、職員に資格取得を推奨しています。


ー最後に、ここは伝えて起きたいことがあればお願いしますー

当法人では、昨年12月に、おしゃれなカフェのような休憩室を新設しました。この空間は、働く職員の休息の場であり、職員同士が交流できる場所にしたいと考えています。

設立趣意書の中に「私たちは、ハンディキャップを持つ人々の支援をする施設としてのみならず地域市民を含む全ての人々の「生涯学習」の拠点「人間道場」として位置づけたいのです。」という「人間道場」が大きな影響を与えています。当法人で働いた経験や学んだことが、職員一人ひとりにとって自分の人生の道を切り開いていく手がかりとなり、法人で働いてよかったと感じられるような組織を目指しています。また、創設者が生前に残した言葉があります。

・「利用者をあるがままに受け入れ、利用者から学び、共に人間として成長していく」

・「誰も手をつけないところ(困っていること)に手を差し伸べるのが、われわれ福祉携 わる者の使命である」

・「私利私欲は排除し、個人の利益ではなくみんなの利益を追求し、真の民主的な運営目 指した法人を創設したい」


この言葉は理念の基礎でもあり、行き詰ったときの原動力になっています。当法人では、現在110数名の職員が働いています。現在は半数が正職員ですが、できる限り全職員を正職員にしたいと考えています。その為に毎年正職員登用試験を実施しています。それから、小さなお子さんがいる職員などは、勤務に配慮したり、男性職員の育児休業取得も毎年増えており、働きやすい職場環境に努めています。


ー取材をしてみてー

今回、起産石川 石川学院の話を伺って、一人ひとりを大切にする姿勢がとても印象的でした。障がいを持つ人々が自分らしく生きるための支援を行い、地域社会との結びつきを大切にする活動は、多くの人にとって希望であると感じました。また、職員が自分の人生の道を見つける手がかりとして働ける環境を目指すという考え方は、職場としての魅力を高めるだけでなく、福祉の現場で働く人々の成長と充実感にも大きく貢献するのだと感じました。それぞれが自分の役割を見出し、互いに支え合うことで、より良いサービスの提供ができているのだと思います。起産石川 石川学院のこれからの活動に期待し、私たちも一緒に理解し、支え合う姿勢を大切にしていきたいと思います。




閲覧数:17回

コメント


bottom of page